2010年8月8日日曜日

眩惑のブロードウェイ

こんにちは。

今回は70年代英プログレッシブロックの名盤、ジェネシスの「眩惑のブロードウェイ」をご紹介します。



まずはじめにぼくが呼ぶジェネシスというロックバンドは、ピーター・ガブリエル在籍時代のみを指します。彼が脱退してからフィルコリンズが中心となって活動したジェネシスのほうが実は有名だったりしますが、ぼくは完全に離脱してしまいました。そしてこの「眩惑のブロードウェイ」という2枚組のアルバムがガブリエル在籍時代最後の作品です。

一般的にはこのアルバムの評価は分かれているみたいです。レエルという主人公のわけのわからない物語を音楽で奏でたいわゆるロックオペラなのですが、はっきりいってぼくもわかりません(笑)。でも、A面1曲目、アルバムタイトルでもあるハードな「ブロードウェイ」の歌詞のなかで、ガブリエルははっきり歌ってます。「I'm Rael!」「わたしはレエルだ!」この時点で、彼が役になりきっていること、そしてそれはこのアルバムだけが変わっているわけではなく、ライブでは演劇のような動きをするガブリエルの真骨頂であること、つまりここまでのジェネシスの集大成であることがわかるのです。言い方を変えると、ガブリエルのジェネシスの集大成ですね。だからそれを好むぼくは、以後のジェネシスに興味がなくなる、このアルバムに違和感を覚えるファンは以後のジェネシスを気に入るのかもしれません。

ところでこのアルバムのジャケはヒプノシスです。以前ここで紹介した「アーガス」のジャケと同じですね。ヒプノシスというデザイングループはロックアルバムのデザインで有名ですが、フロイドやELPなど特にプログレにはよく見かけました。このジャケットを見ているだけで、迷宮に入っていくような気持ちになります。そしてアルバムを聞いていくと、実際にそうなっていきます。

というと前衛的でわかりにくい曲がならんでいそうな気がするかもしれませんが、全然そんなことはありません。ハードなロック、ガブリエルらしい叙情的なバラード、ヒットチャートにでも入りそうなポップなソング。。難解な曲など皆無に等しく、一曲一曲をとりあげれば、ジェネシスらしい美しくときに激しい素晴らしい曲ばかりです。難解なのは曲のつながり、展開ですね。おそらく歌詞も。ですが、歌詞がよくわからないぼくらにはそんなものを解析する必要などありません。ひたすら心地よい音の洪水にひたっていればよいのです。

ぼくはとくに好きなのはA面で、激しい曲の後に一幕が降りるように静かで叙情的な曲が最後に2曲続きます。カーペットクローラー、ザ・チェンバー・オブ・32 ドアーズ です。本当に演劇を観たかのように、幕が降りていくのがわかります。そしてB面をかけると、リリーホワイト・リリスという一風変わった逸品が出てきて新たな幕開けを感じるわけです。

そうしてみるとアナログLPの時代に出会って良かったなと改めて思いますね。一幕から二幕への変化とかを面で感じ取れるし、ヒプノシスのアートをジャケットで楽しめるんですから。

場所はとりますが、やっぱりLPが良かったなあと思うこのごろです。

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